毎年営業収支が赤字になる中で、これまでの内部留保金での対応もつきつつあり、数年後には水道料金の値上げを行わなければということを、市原市長は表明しています。6月市議会で日本共産党の滝口隆一市議は、値上げを遅らせる方策を提案しました。
先行投資が問題
赤字の原因にTX沿線開発への先行投資があります。8年前に72億円もかけて葛城・南部の二つの配水場を建設しました。8万人の人口を想定したTX沿線開発ですが、現在の人口は1万3千人程度です。そのため、日量4~5万トン供給能力のある配水場ですが、それぞれ7~8千トンの水供給です。減価償却費を高め、元利金返済で水道経営を圧迫しています。
市の水道ですから、住宅のまばらな地域にも供給地域を拡大しています。工事費がかかる割には、料金収入は期待できません。
以上のことを明らかににするため、平成13年度と22年度の水道特別会計の比較を行いました。平成13年度の給水戸数は5万4千戸、22年度になると7万2千戸、1・34倍増えています。給水戸数を増やすため借金をして工事してきました。企業債残高が13年度の133億円から22年度には185億円、1・38倍に増えています。お金をかけて工事を進めたのですが、水道使用量は伸びていません。1日平均配水量つまり1日にどれだけ水道の使用量があったかの数字では、13年度の6万トンから22年度の6万2千5百トンへ、わずか1・04倍の伸びにとどまっています。当然、営業収益も1・14倍ということで給水戸数の伸びを大きく下回ります。その結果、減価償却費、借金の利子や元金返済金が、水道会計(特別会計)の赤字を大きく増やしていきます。
この赤字は、市民の責任というわけにはいきません。
極端に減った市財政からの補助金
茎崎町との合併前の平成13年度、市水道の前身である筑南水道企業団にはつくば市と茎崎町から合計7億4千万円の補助金が支出されています。これは先に述べた先行投資などの元利金返済に対する市と町の責任分です。合併後になると、筑南水道企業団も市の水道に組み込まれます。市からの補助金は平成22年度には3億円に引き下げられました。内部留保金がつきた時、市の補助金は、せめて平成13年度まで戻すべきではないでしょうか。
平成13年度の市財政(一般会計)歳入で、茎崎町と合わせて566億円、平成22年度は699億円で大きく伸びています。やりくりは可能です。